150訓練編
訓練編

151科目の訓練
科目の訓練
 家庭犬としてお飼いになるうえで、是非とも、教えておいて頂きたい科目が 五つあります。
「停座」= 座る事
「脚側行進」= 一緒に歩く事
「待機」= 待つ事
「伏臥」= 伏せる事
「招呼」= 呼ばれて来る事


言うまでもなく、どれをとっても何も教えなくても、どの犬もが、自分の意思で普通に行なっていることです。
早い話、座らない犬や、伏せない犬というのはいないのです。
科目訓練というのは、普段犬が自然に行なうこうした行動を、人間の指示で行なわせるというだけの事なのです。
犬に、いうことをきかせるためには、ただ強引に服従させるのではなく、その前に、犬に何をさせたいのかを
伝えて理解させなければなりません。

科目を教えることで、犬にそれをさせる。きちんとできたら誉めてあげる。
こんなに簡単なことで、本当に素敵な関係ができていくのです。
そして、教えた科目を毎日の犬との生活の中に取り込んで応用していく事によって、
飼い主と愛犬の間に、より良い関係を築いて頂きたいと思います。
小さな子供さんが、お母さんのお手伝いを嬉しそうにするのと同じです。
大好きなお母さんが微笑んでくれる事が、無上の喜びなのです。
残念な事に、犬の場合は、体型上の違いもあって、手伝いができないだけなのですから、
あなたが、犬にできる事柄を求めてあげればよいのです。

第一段階は「する様にしむける」段階です。
教えようとする科目の行動を、犬がする様にしむけます。
そして、偶然に、または必然に、犬がその行動をおこした時に充分に誉めてやります。
分かりやすく言えば、犬に号令の言葉を理解させる段階です。

停座を例にとって説明していきましょう。
犬は人間の言葉を知らないのですから、いくら「スワレ」「スワレ」と声をかけたところで、
人間が何をいっているのか、何を望んでいるのか、全くわかるはずもありません。
まず初めにする事は、「ス・ワ・レ」という号令と、犬が、前足を伸ばし後足を折り曲げた、
いわゆる「座った姿勢をとる事」とを結びつけて、意識付けさせる事です。
犬が座ろうとするのを見かけたら、「スワレ」「スワレ」と声をかけてやり、犬が座った時点で、
犬を十分に誉めてあげます。
当然、犬にしてみれば何を誉められているのか解りませんが、それで構いません。
次に、犬と遊んだり撫でてやったりしながら、なるべく犬の興味を引く様に、 自分の右手を、
犬の鼻先からスーッと上にあげていきます。
この時、「スワレ」「スワレ」と声をかけ続けてやる事は言うまでもありません。
犬が座るまで、ひたすら、犬の頭上で犬の気を引き続けて下さい。
その間、犬が跳び付いてきても一切無視して、犬が座るまで続けます。
そして犬が座ったなら、間髪を入れずに、思いきりほめてあげます。
この段階では、座っただけで上出来なのですから、ほめた途端に犬が立ち上がってしまおうが、そんな事はお構いなしです。こんな気の長い方法であっても繰り返していくうちに、次第に、五回か十回も声をかければ、犬が座る様になります。

第二段階は「する様にさせる」という段階です。
初めのうちは、犬の気が散らない場所を選んで、教えてあげましょう。
声の合図(声符)と手の合図(視符)をして、犬にその行動を実行させて充分誉めてやります。
これは幾度も反復して練習しますが、この段階迄は、犬が、訓練を喜んでする様に短時間の練習を、
回数多く行ない、決して叱らない様にします。
合図は、大きくはっきりとし、犬に、自分は何を要求されているのかを理解できる様に、わかりやすくすることを心がけます。そして犬が「学習」の 報酬に対し、自ら要求をもつ様に存分に喜ばせる事が肝要です。
つまり、犬に、また誉めてもらいたい、と思わせる様な誉め方ができるかどうかがポイントです。
行動を実行させる際の、誘導や補助、すなわち、「罰」は、徐々に減らしていきます。
そして犬が、自ら進んで行動を起こしかけた時には、その行動が、正しいものか否であるのかを、
犬が理解できる様に声をかけてやります。
この段階の後半においては紐や手による誘導は、言葉や表情による誘導に変えていかなければなりません。
カラ−によるショックを使わなくても、誉めてもらうという報酬のためにであれば犬がする様になったなら、
犬がその科目を理解したと考えて良いでしょう。 

第三段階は「させる」という段階です。 報酬目当てにするのではなく、指示に従ってする事を教えます。
一度の号令で従わない時は即座に、させます。この段階迄来て、初めて、必要最小限の体罰を必要とします。
ショックを与える上での注意点としては、正しい方向性を定めてから行なう事です。
判りやすく言えば、そのショックから逃れる事ができる方向を一つに限定してしまうことでその一つとは、
当然、教えたい科目ということになります。
例えば「来い」という科目を教える時には、その場に立ち留まることはもちろん、飼い主の元に向かう方向以外に動くことは、一切、認めないことです。
それ以外の方向に動いた時や動こうとしない時には、再度ショックを与えます。

第四段階は、これまでと環境を変えて、いつ、どこででもできる様にします。  
そして、声符や視符は次第に小さくしていきます。
犬の性格によっては、環境が違うと、思いもよらぬほどいう事をきかなくなるものです。
犬が何に気を取られているのか、また何を怖がっているのかをきちんと見極めて、時には強引に、
時には優しく不安を取り除くべく励ましてやりながらも、確実に命令に従う様に教えます。



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