150訓練編
訓練編

157立止の教え方
立止の教え方
   命令用語(号令)としては、「タッテ」「スタンド」などです。
一般に、展覧会向けの訓練をする方にとっては大変重要な科目ですが、
家庭犬のしつけとしては、それほど必要はないかもしれません。
それでも、例えば手入れをする時や、散歩から戻って犬の足を拭いてあげる時、 獣医さんで診察を受ける時、
あるいは雨の日の散歩中、ぬかるみのため犬に座って欲しくない時など、この科目も意外と役に立ちます。


今まで教えてきた「アトエ」や「マテ」を、犬が適切に理解している場合は、ほんの少しの練習でできるように
なる反面、性格の弱い犬や、これまでの教える過程で、叱りすぎている場合には、教えにくいこともあります。
これまでの復習も兼ねて、教えてみましょう。
ちょっと考えればおわかりだと思いますが、三姿勢(停座・伏臥・立止)の内、これが最も不安定な姿勢です。
教える際には、犬の不安を取り除く事を最優先し、犬が動いてしまったり、逆に座り込んでしまわないように、
常に注意して下さい。
強いショックや、喜ばせすぎる事は、そうした原因になりますので、なるべく淡々と教える様にして下さい。

まず、歩いている時、次第に速度を落としながら、ごく自然に立ち止ります。
約半数の犬は、この時、立ったまま止りますから、ゆったりと誉めてやりながら「タッテ」の号令を
繰り返しかけてあげます。
右手は、犬の顔の前で、待ての合図を行ない、犬が前に動きそうになったら、待ての要領で犬を制し、また、
もしも座りそうになったら左手の甲で、犬の右後跂の膝の部分を軽く叩く様にして支えます。
この時も必ず声符を忘れないで下さい。

また、立ち止ると同時に座った犬については、もう一度「アトエ」の合図で歩きだし、今度は 自分の左足をそっと犬のお腹の下にあてがって、犬を座らせない様にして下さい。急に足を出すと、犬は逃れようとしたり、
かえって急いで座り込んだりもしますので、犬の性格によっては、手で補助をする必要もあります。
これまでも散々述べてきましたが、犬は抑えれば抑えるほど、反作用で一層に出ようとします。
抑える際は、緩急をつけて制する事が大切です。そして犬が立った姿勢でいる時には、主にお腹を軽く撫でながら穏やかな口調で誉めてあげるようにして下さい。

立った姿勢で居られるようになったら、次は、別の姿勢から立つことを教えます。
「タッテ」の号令で、右手で、紐を軽く前に引いてやると同時に、左足を、犬のお腹の所に差し込んで、
犬の後跂の腿から膝にかけての部位を後方やや上に押し上げる様にして犬を立たせます。
「アトエ」で飼い主に併せて歩く事ができている犬でしたら、飼い主が左足を半歩踏み出して、
歩き始めるふりをすれば、いとも容易なはずです。


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