250しつけとは何か
しつけとは何か


253しつけは何のため
しつけは何のため
  犬は、人間とは全く別の動物であり、本能も習性も大きく異なります。
犬が暮らす社会は人間社会であり、そこには人間が人間のために定めた、自然に反する多くのルールがあります。
何も教えなければ、犬は人間社会のルールを知ることもできないままに、人間に疎んじられることになります。
しかしきちんと教えてあげさえすれば、犬には、優れた適応力と順応性があり、高い学習能力がありますので、
本当に素晴らしい伴侶として、共に幸せに暮らすことができるのです。
なぜ、しつけをするのでしょうか?
例えば人間の子供であるなら、何も教えずに、ただ生存に必要な食物を与えて、
充分な運動をさせているだけの人などいるものでしょうか。
日本においては、最低限、義務教育は受けさせるでしょうし、どんなに非文明国の人であっても、
その民族の社会ルールだけは、必ずや教えているのです。

むしろ 「何故、しつけをしないのか」 とこちらが尋ねたい程なのです。
私は、犬のしつけを犬に対する愛情、社会に対する責任と捉えています。
人里離れた広大な地に、犬中心の世界を作っているなら話しは別ですが、皆さんは、犬を養っているのです。
犬に養って貰っている人とでは、本質が全く違うのですから、テレビなどで見る、そうした世界での
「犬との付き合い方」を理想だと考えてしまうことには、私は危険を感じます。

人間社会の仲間として、あるいは、家族の一人として犬を考えるのならば、犬にしつけをする事こそが、
あたりまえのことなのではないでしょうか。 もちろん、犬という動物が本能として持つ行動について、
どこまでを認め、あるいはまた、どれだけの制約を加えるかは、各々飼い主の方の判断ですが、
最低限、人様に迷惑を掛けない程度には、お考え頂きたいと思います。

犬の嫌いな方、怖いという方にしてみれば、跳び付かれただけであっても、「襲われた」となりますし、
咥えただけであっても、「咬み付かれた」という表現になるのです。また、足腰の弱い方ですと、
跳び付かれた拍子に転倒し、思いも因らない大怪我をすることもありますし、小さいお子さんですと、
大声で逃げ回るがために、平素はとてもおとなしい犬であっても狩猟本能が呼び起こされ、想像も付かない
行動を惹き起こす事もあります。

また、よく、「あそこの家は、犬の散歩にも行かないで犬を飼っていて、あれでは犬を飼う資格など無い。」
という意見を耳にしますが、むしろ、しつけもしていない犬を街中に連れ出す飼い主の方が、
もっと、犬を飼う資格が無いように私は思います。

もちろん、あなた自身が寛大で我慢強く、また他人の迷惑を顧みないのであれば、何のしつけもしないで、
いわゆる生かしてだけおくような飼い方もありなのかもしれませんが、犬にとっては不幸なことです。
 



 前のページに戻る  教本TOPページへ  次のページに進む