515一次性の賞罰

一次性の賞罰


516報酬は罰になる
報酬は罰になる
 

報酬に罰せられるように、ご褒美もまた罰であるとも言えるのです。
どういうことかと思われるかもしれませんが、賞と罰、ほめると叱るなどは、それぞれに同じものなのです。
たとえばエアコンのスイッチや電気刺激治療器などは、その強弱によって賞と罰とがすり替わりますし、
ご褒美も貰えることが当然になると、貰えないことが罰になるように、比較によってすり替わる場合もあります。

それゆえに、罰がいけないとされる理由のほとんどは、罰だけでなく、賞に関しても同じことが言えるのです。
そもそも賞も罰も、相手を自分の思い通りに操るという点に関して同じなのです。


行動分析学においては、行動の原因を動物の内部にではなく外部に求めますので、動機づけという発想そのものが否定されていますが、行動分析学以外の心理学においては、行動のきっかけから方向性を定めるものを動機づけであるとしています。

動機づけには、生命を維持し種を保存させるための生得的な生理的動機づけと、社会的動機づけがあります。
さらに社会的動機づけは、目標を定めてそれを成し遂げようとする達成動機づけ、
好奇心や関心によってもたらされる内発的動機づけ、そして他者から与えられる賞罰、強制などによる外発的動機づけの三つに大別されます。

長い間、外発的動機づけによる報酬が内発的動機付けを低下させることについて、行動主義者と内発的動機づけ
論者は議論を続けてきましたが、最近になって、アンダーマイニング効果と呼ばれる「報酬目的の行動における、モチベーションの低下」が行動実験のみならず、脳科学においても実証されています。


心理学者コーンは、次のような理由を挙げて報酬は罰になるとしています。   
・報酬は、関係を破壊する   
・報酬は、理由を無視する   
・報酬は、冒険に水をさす   
・報酬は、興味を損なう   
・報酬は、簡単に止められない   
・報酬は、得るための手抜きを選ばせる           

 


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