520一次性の賞
一次性の賞 

 報 酬  おやつ 


525オヤツを使うデメリット
オヤツを使うデメリット
  食べ物を使って教えることのデメリット
そもそも餌や物で釣って教える事は、単に、ある種の取引を犬に教えこむ事であって、愛犬家が本来犬に求める、
犬と人との精神的な絆を作り上げる事にはなりません。
・興奮する 食欲の旺盛過ぎる犬などでは、興奮して、かえって教えにくくなる事。
・卑劣 そもそも食料の完全なる支配者によるオヤツを用いた訓練の、どこが優しいのか、私にはわかりません。   オヤツをあげるのも、相手を喜ばせてあげたいからあげるのなら優しさでしょう。
  でも、それだったら取引の条件を付けるべきではありません。
  自分のいうことをきかせようと、自分のために相手を喜ばせているのであれば、優しさではありません。
・効果が即効的である そのために教える側が依存しやすい。
・欲求を充たすのではなく、欲求を刺激する方法である。
  オヤツを使って教える場合には常に欲求不満の状態にさせておくことが求められます。
  充たされた幸せを味わうことなく、常に幸せを求め続けるのです。
・弊害が遅効的であり、そのために、気が付いた時には手遅れとなります。
 また、その原因が「オヤツで教えたため」との因果関係の立証は困難であるため、認識されにくい。
・行動を教えるだけであって、そこで得られるものは、表面に見える行動だけです。
・無意味に難しい
  「オヤツで教える方法はたしかに難しくもあり、飼い主さんに勉強して頂かないと上手にはできません。」   と述べるトレーナーもいます。
  たしかにタイミングが重要ですし、それ以前に、オヤツを床にばら撒いてしまったり、
  犬に横取りされてしまったりする飼い主さんも多いようです。
  難しさ自慢をするつもりはないので、正直なところどちらが難しくても構いませんが、
  取り組む価値があるのはどちらなのかということです。
  オヤツの種類の選定や、強化スケジュールなどを学ぶ苦労にどれほどの意味があるのでしょうか。
  曲芸のテクニックを勉強することよりも、他にもっと学ぶべきことがあるように思えます。
・禁止を教えられない オヤツトレーダーによるしつけでは、いけないことを教えることができません。
  犬に対して、常にどちらが得かを選択させることを教え込んでいるのですから、
  発情中の犬、遊び仲間の犬、喧嘩相手の犬、猫やハト、あるいはボールなど、犬の前にオヤツより魅力的な
  ものが並んだ時には、犬はいうことをききません。そのためオヤツの効果を最大にするために、
  最近では、オヤツ中毒養成玩具を「知的玩具」と称して販売しているほどです。
  オヤツ中毒患犬になれば、ほとんどの誘惑には釣られなくなりますが、例外もあります。
  それは性欲です。それゆえに、オヤツトレーダーのほとんどが去勢・避妊を推奨します。
  街中にオヤツ以上のご褒美(発情犬)が歩き回っていることは不都合なのです。
・状況次第 肝心な時には言う事をきかない
  怖さや興奮で、食べ物が喉も越さない状況では釣られない 
  満腹の時には効果が無い事。
・常に欲求不満
  人間の管理下で飼養する以上、給餌は愛情以前の責任であって、給餌を控えながら餌を褒賞として用いること  に抵抗を覚えるのです。飼養されている犬というのは、一切の食物を自力で取得し得ない状況に、居所を制限  されているのです。つまり動物の生命の根幹である食べ物を支配しておいて、それをご褒美と称して小出しに  与えることが、しかもそれを動物愛護や動物福祉だのといった美化された看板を掲げて行なうことの賤しさが  嫌いなのです。
・使い続けなければならない
  有る無しが明確なため、無くしにくい
  「導入だけで、すぐに無くしていけばいい。」とシャブの売人のようなトークをする人も多くいますが、
  嗅覚や観察の優れた犬に、オヤツを持っているかいないかを気づかれないようにすることは難しい。
・みっともない あのポシェットからして嫌だ
・あげるのが面倒くさい
・準備が大変
・餌は与えているうちに無くなる
・与え続けると犬が満腹になり効果がなくなる
・オヤツ代がかかる ・栄養が偏る
・食欲の少ない犬には効果がない
・働きかける本能が違う

思い付くままに並べてみましたが、最大の問題点は最後に挙げた「働きかける本能が違う」ことかも知れません。
犬の繁殖が、犬の自由恋愛ではなく人為的選択によるものである限り、 人間が着目した本能が、世代を追う毎に、
強められていきます。
それこそ最近では、「オヤツやオモチャにあまり興味を示さない犬はやっかいです」
「ご褒美に目がない犬ほど扱いやすいです」と言うトレーナーさえも現れてきました。
私には考えられないことですが、罰はいけないものとされ、オヤツで教えることしか教わってこなかった世代の
トレーナーにとっては、これが本心なのでしょう。
こうしたトレーナーや飼い主が主流になれば、繁殖において重要視される素質は、今までとは全く違ってきます。やがては犬に服従心や従順性は必要とされず、食欲の旺盛な犬が良い犬として繁殖がされるようになるでしょう。

しかしながら餌付けされたサルは、やがて人から餌を奪うことを身に付けます。
ギブアンドテイクで始まった関係も、歳月が経てば、次第に貰うことが当然の権利となります。
そしてやがては、ギブミーアンドアスクフォーモアー(頂戴、もっと頂戴)となるのです。
五年十年で急に変わることはないかもしれませんが、しかし、こうした流れは、必ずや将来に、
深刻な問題となって表れてくることと思います。


 


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