700ドッグトレーナー育成ビジネス
トレーナー育成ビジネス


701ドッグトレーナー育成ビジネス
ドッグトレーナー育成ビジネス
 
現在では、褒めることを主体としたしつけ方が主流です。
それは1990年代前半にアメリカから導入された、行動学の学習理論に基づいた科学的なトレーニング法です。
それまで日本では、家庭犬のしつけさえもが、軍用犬の訓練を源とした職業訓練士によって、軍隊式の訓練、
すなわち威圧感や罰を主体とした強制的な方法で行なわれ、そのように教えられていました。
新しい方式は、動物行動心理学におけるオペラント条件付けの学習パターンの一つである正の強化に着眼し、
飼い主は罰を用いることなく、褒めることで犬をしつけるスタイルとして取り入れられたものです。

犬のしつけ方について勉強を始めてみると、このような話を見聞きしたことがあろうかと思います。
当時これに跳びついたのは、トレーナーの育成をビジネスとして行なおうという人たちでした。
時を同じくして、次のような話も組織的に流布されました。

訓練所に預けて訓練しても、帰ってきた犬は、家族の言うことをきかない。
訓練士は犬を威圧や暴力で犬に服従させているので、犬は怖いから訓練士の指示に従うだけである。
家族は、愛犬にそのようなことはできないから、家族の言うことをきくようにはならない。

そもそも新しい方法とされている正の強化によるトレーニング自体は、古くから経験則として知られており、
訓練士であれば誰もが普通に用いていたものです。新しいとすれば、それは罰を用いないという点でしょうか。
多くの犬の場合、犬を訓練することそのものは、それほど難しいことではありません。
しかし、中にはそうではない犬もいますし、訓練士に依頼が来る犬には、むしろそうした犬が多いのです。
そのため訓練士になるためには、どんな犬にでも対応できる能力や訓練方法を学ぶことが必要だったのです。

犬を訓練するためには、まず犬との信頼関係を作り、その後にほめたり叱ったりしながら教えていくというのが、
この頃に普通に行なわれていた訓練方法です。
一緒に暮らして日々の世話をしながらのほうが、犬との信頼関係を築きやすいこともあり、家庭で飼っている犬を
預かって訓練をする方法が多く行なわれていました。


犬の訓練者を育成する上で、もっとも手間と期間がかかることは、信頼関係の築き方と叱り方を教えることです。
これらは、多くの犬たちを相手に、実践による経験の中でしか修得しえないからです。
そのため、犬の訓練を勉強したい人は、訓練所に住み込んで、犬の世話や手入れといった日常管理と、運動や遊びを通じての信頼関係の構築といったことや訓練の方法を、それこそ何年もかけて犬から学んでいったのです。

日本では古くからあった徒弟制度と呼ばれる、技能の伝承を第一義とする形式に近いものです。
当然ながら犬の世話に休みはありませんし、それは終日に及びます。汚れる仕事や、危険な仕事も多く、そうした
厳しい修業に耐えられる人は少なく、犬の訓練者の育成が、到底ビジネスとして成り立つとは思えませんでした。




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