150訓練編
訓練編

152座れの教え方
座れの教え方
命令用語(号令)としては、「オスワリ」「スワレ」「シット」などです。
この科目は、とっても一般的でほとんどの方が教えているのではないかと思いますが、
訓練を進めていく上でも大切な科目ですから、是非しっかり教えてほしいと思います。
最終的には、いかなる状況においても、命令に従って即座に座るようにします。


「また、誉めてもらいたい」という気持ちを犬に持たせる事が、初めの一歩です。
まず、犬が偶然に座った時に、「スワレ」「スワレ」と声をかけて充分に犬を愛撫してやります。
これを何度も繰り返すうち、次第に、犬が座りかける瞬間に、「スワレ」の号令をかける様にしていきます。
そして、犬が座ったら、今度は「ヨシ、ヨシ」といって誉めてやります。

効率よく教えるためには、犬が座るのを只ずっと待つのではなく、何らかの手段を使って、犬が座る様に仕向ける
工夫が必要です。そこで、右手の人差し指を立てて、犬の鼻先から上にあげます。
これは「座れ」の手の合図(視符)であると同時に、あなたが四つん這いになり上を向いてみれば分かりますが、
犬の視線を上に向ける事によって、犬が自然に座り易くするものです。
次の段階は「号令」と「座る事」と「誉めてもらえる事」を犬に関連づけて教えます。
あまり犬の気が散らない状況を選んで、短時間の練習を回数多く行ないます。

大切な事は、充分に誉めてやりながら犬が喜んでやる様にさせる事です。
この段階で、犬を叱って怖がらせてしまうと 、恐怖心ばかりが先立って犬は何も覚えられません。
犬に分かりやすくと同時に、犬の注意を自分に引きつけるために、号令は大きな声ではっきりと言いましょう。
そして声符と同時に、視符も併せて行います。まず、犬を自分の左側につけて、右手にリードを短く持ちます。
この時紐が長いと犬は自由に動き回ってしまい、あなたの指示に集中しなくなります。「スワレ」の声符をかけ、
右手の紐を上に引き揚げると同時に、左手で 犬の腰を押さえて犬を座らせ充分に誉めてやります。
力配分でいえば、右手が7で、左手を3ぐらいが良いでしょう。
左手で、力ずくで座らせようとすると、かえって犬は嫌がりますので、左手は、犬が腰を左右に回さない様に、
人差し指と親指を開いて、犬の腰骨の部分にあてがいます。
そして押す時も、真下よりも心持ち前方に、極端な表現をすれば、両前足の間にお尻を巻き込むようなつもりで、
素早く押え込みます。 これを何度も繰り返して教えるわけです。
回数を重ねるにつれて補助や誘導は徐々に少なくし、右手のリードは瞬間的なショックを与えて引く様にします。
そして犬が自ら座ろうとした時には、軽く励ます様に声をかけて、その行動が正しいものである事を伝えます。
この段階の後半においては、紐や手による誘導は徐々に減らすとともに、言葉や表情による誘導に変えていくことは前に述べたとおりです。

第三段階では、指示に従ってする事を教えます。これまでの練習とは環境を変えて行ないます。
といっても急激に難しい状況にはしないで、順を追って難度を高めていく様にします。
環境に慣らす事と、自分に注目させる事が大切です。
犬は「できる」段階にあるのですから、指示しても犬がしない時には、必ずさせるという意志を持って下さい。
場合によっては、最小限の体罰も必要になりますが、この時は、犬が体罰を与えられた事を忘れてしまう程、
良く誉めてあげる様にして下さい。
この段階まで来たら、何度も声符を繰り返しません。一度の声符で、即座に座る事をしっかりと教え込みます。
それと同時に、声符・視符は次第に小さくしていきます。もしも、きちんとした姿勢までも教えたいのであれば、
横座り(片膝をくずす)をする犬の場合には、この頃から直す様に習慣付けます。


 前のページに戻る 教本TOPページへ   次のページに進む







いずみ愛犬訓練学校教本          copyright©1991 いずみ愛犬訓練学校 all rights reserved.