280支配と関係
支配と関係


282信頼関係について
信頼関係について
そもそもが信頼関係とはどのような関係であるのか、何をもって信頼関係が出来ていると言えるのか、
それを明確にしなければ、議論にさえなりません。
馴れている、なついているということと、信頼関係ができているということとは、全く別次元のことです。
ちょっと叩いた程度で壊れるのであれば、それは壊れたのではなく、信頼関係ができていなかったのです。
なぜ人はこれほどに犬を愛してやまないのでしょうか?
犬の魅力とは何でしょうか。
それは、打算のない純粋な愛情ではないでしょうか。
犬が人を愛する時、地位や財産あるいは学歴や容姿などの一切に左右されません。
犬は人のそのものを愛し、犬は人の能力に従います。

それは、服従という言葉よりは、心服または信服といった言葉の方が適切でしょう。
そして、犬は無償の愛を私たちに与えてくれるのです。
あなたが犬に求めたものは、純粋な愛情であり、犬との心の絆だったのではないのでしょうか。
犬との関係作りに必要なものは愛情です。

それなのになぜ、犬との関係作りに「オヤツによる取引」を持ちこんでしまうのかがわかりません。
子供にお小遣いさえ与えておけば、親子の関係はそれでいいと思うのでしょうか?
早いから、簡単だから、楽だから、喜ぶからといって、無償の愛を、損得の取引に変えてしまってよいのですか?そんなものが、本当に「犬に優しいトレーニング」なのでしょうか?
それが優しさなのであれば、私は優しくなくてもかまわない、「真に愛情のあるトレーニング」を目指します。

たしかに、オヤツをあげれば寄ってもきます。でも、そんな程度なら裏山のタヌキとだって大差がありません。
そんなものはただの餌付けにすぎません。
そんなもので信頼関係ができたとは言いません、よく馴れたと言うのです。

あなたがクラブのホステスさんだとしましょう。
ソファーで札束をばらまくお客さんがいたら、そのお客さんに寄っていき、媚びの一つも売るでしょう。
しかしだからといって、あなたはそんなことで、そのお客さんを信頼しますか?
犬は、たしかに甘やかしてやれば、嬉しそうにじゃれて遊んでくれます。
しかしそんなことをしたから信頼関係ができたとは言いません、よく懐いたと言うのです。

犬という動物は、その本能で、もっと相手の本質を見抜きます。
犬は、信頼できない相手のいうことはききませんし、身を委ねることをしません。
それどころか、甘やかすことしかできない相手と思えば、なめてきますし、つけあがりもします。
決して犬がいやな奴なわけでも何でもなく、動物として当たり前のことなのです。

「寄らば、大樹の陰」という諺があります。
会社員だって政治家だって同じです。
力のある者に付くことで、わが身の安全を図るとともに、安心を得ることができるのです。  



  前のページに戻る  教本TOPページへ  次のページに進む






いずみ愛犬訓練学校教本          copyright©1991 いずみ愛犬訓練学校 all rights reserved