教わる側による違い 変な話でもあるし、当たり前の話でもありますが、教える相手によって教え方も違ってきます。 教わる側というのは、犬によってのこともありますし、人によってのこともあります。 教えたいことがらや、どの程度にといったことも、犬の大きさや飼養環境などによってもさまざまです。 たとえば引っ張らないようにということでも、引き倒される危険性のある大型犬と、小型犬とでは全く違います。 いざという時に抱きかかえることのできる小型犬であれば、必要とされる訓練水準はそれほど高くありません。 それゆえにイミテーションでも事足りるのですが、イミテーションであることは認識しておいてほしいものです。 十犬十色の教わる側(飼い犬) また個々の犬による違いや、それ以前のさまざまな要因によって違いが生じます。 十人十色の教わる側(飼い主) 飼い主についても同様に、考え方から性格などまさに十人十色です。 |
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いわゆる予防的なものと治療的なものとで生じる違いや、軽症の場合と重症の場合とでの違いです。 |
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子犬であれば、その多くは予防的な観点から教えます。 成犬であれば問題行動の有無にもよりますが、治療的な方法になることも多いです。 |
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大型犬と小型犬では、犬自体の特性も相当の差異があります。 大型犬であれば重要なことであっても、小型犬では問題とならないことも多くあります。 |
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まっさらの子に、一から教える場合と、一旦身に付けてしまった行動を改めて別の行動を教える場合とでは、当然に教え方そのものも違ってきます。 犬ののためにも、飼い主のためにも、初めから良い習慣を身に付けさせることをお薦めします。 |
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子犬と成犬 いつ頃から教え始めればいいのですか、という質問をよく見受けます。 迎えた日からと言われることもあれば、ある程度.大きくなってからと言われることもあります。 商売上手な人は、いくつからでも、いくつになっても大丈夫ですと答えてくれます。 それは当然に、何を教えるのかによって全く違います。 また、今よりもさかのぼって教え始めることは不可能なのですから、 相談相手に「もう手遅れです」と言う人は少ないでしょう。 ただし人間が意図して教えなくても、犬は犬なりに多くのことを既に学んでいます。 いったん学んだ事柄に、同類や進展した事柄を教えることは容易ですが、 学んだ事柄と逆行することを教えることは難しいですし、身に付けた習慣を、新たな習慣に変えることは困難です。 適した時期を逃してから教える場合には、それなりに教える方法が違ってきます。 まっさらな犬に一から教えるのと、何某かの習慣を身に付けてから直すのとでは、違って当然です。 ・ある時期までに教えなければ、それ以降は教えることができないもの : [刷り込み] ・ある時期までに教えなければ、それ以降は教えることは難しいもの : [親和性・善悪規範・三つ子の魂百までも] ・ある時期以降でないと、教えられないこと : [身体的発達を必要とするもの・成長に伴い発現する行動の修正] ・いつからでも、いくつになってからでも、教えることのできること :[科目訓練] 大型犬と小型犬 大型犬と小型犬とでは、まず、困る程度が全くに違います。 小型犬であれば、取り立てて問題にならない行動であっても、大型犬では、許されない問題となることは非常に多くあります。 喜んで人の跳び付く行為も、小型犬であれば微笑ましくもありますが、 大型犬では人様に怪我をさせかねない危険な行為となります。 トイレのしつけでも、小型犬と大型犬では粗相された時の困り具合は桁違いですし、 散歩時の引っ張りについては絶対的な違いです。 部屋の中を走り回ることに関してもそうでしょう。 それゆえに大型犬の場合には、そうした行動を止めさせることの重要性が生じます。 特に咬み付きの問題は、誰が考えてもお分かり頂けると思います。 吠えの問題も、小型犬の吠え声程度であれば、無視して止むのを待つことも可能なケースが多くあるかと思いますが、大型犬であれば、止むまで待つことが可能なケースの方がむしろまれだと思います。 |
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散歩中のトイレやノーリードによる散歩、あるいは吠えの問題などは、地域性や住環境によって、人々の「普通」という基準からして大きく違います。 |
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犬も庭で飼っているのであれば、自分の生活領域に入り込んできませんので、極端に言えば、食餌や掃除など世話をする時と、散歩の時間だけのかかわりです。跳び付く犬であっても、それなりの心構えと身支度で犬の所に行けばいいのですから、それほどの問題意識を感じないでしょう。 |
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同じに室内飼育と言っても、サークルなどの限定したスペースで犬を飼う場合と、部屋の中を自由にさせて犬と暮らすのとでは、トイレのしつけやいたずらのしつけも、その中身も求められる水準も大いに違ってきます。 |
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獣猟犬・鳥猟犬・牧畜犬・その他使役犬・闘犬・愛玩犬など 犬種によっては、一般の人が考えるよりもはるかに大きな犬種特性というものがあります。 と同時に、同じ犬種でも大きな個体差があります。 |
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先天的なものと、生育過程で後天的に作りあげられた性格とがあります。 長所と短所は表裏一体のものです。 |
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生育過程での経験により身に付けたもの。 |
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私にしても、一回限りのセミナーの受講者、お客さま、生徒、弟子、などによって、 それぞれに教える内容も、おすすめする方法も違えています。 当然に相手の知識や経験によって、あるいは、姿勢や能力などによって変えると思います。 |
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わかりやすいこと。興味を持ってもらえること。誰もに当てはまること。 失敗がないこと。誤解されにくいこと。 |
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その人が望んでいること。その人に必要なこと。その人にできること。 これらのうちから、その人に合った方法をしていますので、別の人には当てはまらないことも多くあります。 |
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必要なこと。 大切なこと。 |
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どんな人であるかはおろか、実際の犬の状態さえもわからない、ネット上あるいは電話での質問や相談では、文章や口頭で伝えることのできる方法というだけでなく、失敗や危険、あるいは誤解の少ない方法を選択せざるを得ません。
実際に教える場合には、一つ一つに犬の反応や成果を見ながら、次を決めて進めていきます。 それゆえに、実際に犬に教えながら教える場合と、そうでない場合とでは、選択する方法そのものが違ってきます。 極端なたとえですが、荒くれた土方のおっちゃんと、深窓のご令嬢とでは、同じに「思い切り叩いて」と言われて叩くとしても、その力の大きさが全く違います。 また、どの程度の期間をかけることができるのか、その後の経過観察ができるのかどうかによっても違いがあります。 よく、著名な一流の人が言っていたのだから間違いないと思い込んでいる人もいますが、これらの理由からもおわかりいただけるように、教えられたその方法は、間違いではないにしても、せいぜい「可」であって、「良」でもなければ「優」でもない、ましてや「秀」ではなおさらないかもしれないことを知っておきましょう。 |