犬は、自らの行動の結果が好いことであればその行動は増加し、自らの行動の結果が嫌なことであれば
その行動は減少します。 教育としてこれを行なう場合には、次の二通りがあります。
直接指導=教え手が自らが、犬に結果を与える。
ほめたあげたり叱ったり、することです。
直接指導とは、犬の行なった行動に対して、教え手が犬に賞罰を与える方法です。
賞罰の代表格とも言える「ほめる」「叱る」あるいは、オヤツをあげたり、叩いたりといった方法です。
もっともオーソドックスな手法ですが、効果や弊害が相手との関係性に影響される難点や、
人がいる時といない時とで行動を変えるなどの欠点が表れる場合があります。
間接操作=教え手は、犬が環境から受ける結果を操作する。
環境操作とは、犬に対して教え手が直接に賞罰を与えるのではなく、
環境から犬が受ける結果(環境で発生する賞罰)を、あらかじめ操作するということです。
環境から犬が受ける結果というのは、環境で発生する賞罰のことで、行動を働きかけた相手の反応や、
物理的な物事の動きのことです。具体的な事例で言うと、「吠えたら、相手が逃げて行った」
「扉に跳び付いたら、開いた」「ストーブを触ったら、火傷した」などです。
結果の操作というのは、扉の場合で例えると、あらかじめ跳び付いたら「開くようにしておく」
跳び付いても「開かないようにしておく」跳び付いたら「電気ショックが流れるようにしておく」などです。
スキナーボックスのオヤツの出る装置もその一つです。
一般的には、天罰方式と言われる方法です。トラップ(罠)方式ともいいます。
教え手との関係性に左右されないという利点があります。
また、人の在、不在に関わらずに一定の行動を行なうように教えることが出来ます。
どちらの方法においても重要なことは、賞罰は自分が与えたものだけではないという事実です。
教え手の無意識の行動が、賞罰となって直接指導となっている場合もありますし、
教え手が全く感知していない賞罰を環境から受けている場合もあります。
家庭犬の訓練の多くは、一般的な行動を、弁別によって「弁別刺激に対応する反応」を教え込むことであり、
すなわち条件付けと言えます。 ここで言う弁別刺激とは号令などの合図で、反応とは行動です。
具体的には、「ス・ワ・レ」という号令を聞いたら、お座りの姿勢をとることを教え込むことです。
条件付けには、古典的条件付けとオペラント条件付けの二つがありますが、
古典的条件付けとは、ベルを鳴らしてから食事を与えると、やがてベルを鳴らしただけで唾液が出るようになるといったように、
反射と呼ばれる生体が本来持っている反応が対象ですので、いわゆる犬の訓練で教える行動はオペラント条件付けとなります。
オペラント条件付けでは、行動における結果を人為的に与えたり、操作したりすることによって、犬の行動をコントロールします。
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