520一次性の賞
一次性の賞 

 報 酬  おやつ 


522オヤツを使うこと
オヤツを使うこと
 
「叱ることはいけないことです」と言うだけでも?なのに、
さらには「ほめてあげましょう」と言って、おやつを与えるトレーナーがいます。

見た目には同じようなことを教えることができても、一番肝心なことが、オヤツでは教えられません。
オヤツという最も安易な手法を初めから取り込むことで、犬との関係作りの大切な一歩を失ってしまうのです。
あなたが犬に、何を教えたいのか知りませんが、オスワリやマテなどを教えるよりも前に、
まず、あなたが犬に好かれる、認められるための方法を教わって、その努力をするべきです。
それを学ぼうとすらしない人、努力すらしない人が、オヤツで犬を操ろうとするのです。

飼い主がオヤツを使って教えることについて、全てにおいていけないとは、決して思いません。
しかし、オヤツでしか教えることのできない人が、プロとして跋扈することには、内心、憤りすら覚えます。

ほめて叱って、教えるとなれば、それ以前に相手との関係を築かなければなりません。
褒めることがごほうびとなりうるためには、まず犬に好かれる必要と、認められる必要があります。
あなたにしても、どうでもいい人から褒められたのでは、多少いい気分にはなっても、
その人の為にという気持ちにはならないでしょう。
それに、好きでもない人に身体じゅうを撫でまわされたところで、ちっとも嬉しくはないでしょう。
たしかにオヤツであれば、ほとんどの犬が、誰から貰ってもそれなりに喜んでくれることでしょう。
しかし、家庭犬、伴侶、家族と称しながら、オヤツでの絆というのではあまりに現代的で寂しい思いがあります。

また、オヤツで教えるトレーナーの多くが、犬を支配することを非難しますが、「それをすれば、これをあげる」という他者の動かし方は、本質的には、「報酬を管理する側の言うとおりにやれ」という世界になります。
「それをすれば、これをあげる」ということは、「それをしなければ、これをあげない」ということなのです。
しかも、相手がそれを欲している状況を作って、あるいは選んで行なうのです。
言ってみれば、飼い主が作り上げた欲しがる状況において、その弱みに付け込んで取引を持ちかけるのです。
私には、それほど犬に優しい方法には思えません。


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