|
叱ることや体罰などの積極的な罰は、その効果以上に、その失敗や弊害が犬の身体や行動にすぐに現れますので、誰の目にも見えるのです。逆に、無視するような消極的な罰であれば、即効的な効果もすぐには見えませんが、 弊害もまた、目に見えるようなことはありません。
叱らないトレーニングに害はないのでしょうか。 ホメオパシーと呼ばれる代替療法というものがあります。 それこそ科学的に言えば、副作用もないが治療効果もないものとされます。 もしもその通りであるならば、それは確実に害があります。 なぜなら、効果のないものを実施することにより、有益な療法を受ける機を失するからです。
たちの悪いことに、そうしたものは、「即効性はありませんが、続けていけば、」「個体差がありますので」 と 言って、効果の時期に対して長期かつ不定をあらかじめ謳っているのです。 それゆえに、効果のないことに気が付いた時には、本来の治療方法でも手遅れの状態になってしまいます。 さらには、「消去バーストといい効果が表れる前触れの一段階として、一時的に症状が悪化することがあります」と、あらかじめ伝えられれば、効果がないことに気が付くのが、いっそうに遅れてしまいます。
同じことが、叱らないトレーニングにおいても言えると私は考えます。 従順性を身に付けることができる幼児期に、従わせることをさせない。 我慢癖を身に付けるべき時期に、 我慢をさせない。善悪の判断基準を養う時期に怒られない。 それが正しいトレーニングなのでしょうか。 叱られないことにより、何をしても許される体験や、要求すれば叶う体験を積み重ねることそのものが、 重大な害になるのではないでしょうか。 |