580
罰 


585罰を用いない教え方
罰を用いない教え方
罰の使用に反対する人たちが推奨する方法
  スキナーは、問題行動の原因を性格に帰着させてしまうと、問題行動を変容するには、性格改善という具体性の
無い提案しかできなくなってしまうと述べていますが、これは科学者として行動原理を究明するためには、
絶対的に必要なことでしょうが、教育として犬の訓練をする上では、これではまさに本末転倒です。
科学的トレーニングを標榜する人たちは、現代の科学では未だ究明しえない、高度な知能や感情による心理行動までをも、
行動分析学的見地のみで解明しようとするから、どうしても無理が生じてしまうのです。


飽和:問題行動を強化している賞のもつ魅力を、存分に与えて飽きさせることで弱めます。
   欲求を満たすことによる解決は一時的であり、問題の先送りに過ぎません。
発達スケジュール:成長によって自然に治まるのを待ちます。
   成長すればというのが何時を指すのか、また自然に消えるかどうかでさえ不明であるのに、
   教育の適期を看過し重篤な状況を起こす恐れがあります。
忘却:その行動を忘れてしまうほどの期間、その行動を行なう機会が無い状態に置きます。
   実際にはこれと同じ原理のことを私もいたしますが、いわゆる、物理的解決法であり、
   もしもこれだけで解決を図ろうとするのであれば、それは臭い物には蓋をすることにすぎません。
消去:その行動を強化している賞を生じさせないようにします。賞となっている反応をしないようにします。
   無視という言葉があてられた昨今では、かなりおかしな手法や理解が広まっていますが、 元来、推奨されていたものです。
   ただし適用できる行動は、飼い主のリアクションによって犬を悪くしていた場合だけです。   
   人為的に修得させた随伴行動であれば賞となっている反応を取り去ることで消去が可能ですが、         
   賞が環境により付与される場合や、行動自体に内在する場合には、消去されることはありません。
拮抗:両立出来ないような、別の行動を教えて強化します。
   理論的には、理想的な方法かとも思います。 しかし、時間差で両立を行なうようになることもあります。
   何よりも問題なことは、難しいことです。普段、何でもない状況の犬ににもさせることのできない人が、
   犬自身がしようと思っていることとは違う何かをさせるのですから、問題行動として扱われるれるまでになってから
   この手法を用いることは難易度がかなり高いと考えた方がいいでしょう。
  



 前のページに戻る  教本TOPページへ  次のページに進む








いずみ愛犬訓練学校教本          copyright©1991 いずみ愛犬訓練学校 all rights reserved