旧来は、「一般の方が、飼犬の訓練を」となると、〇〇警察犬訓練所というところに依頼するのが普通でした。 これも、その名称ゆえに誤解されている方が多いので簡単に述べておきましょう。 シェパード犬=警察犬と思っていたり、警察犬協会の訓練試験合格=警察犬と思われている方もおりますが、 警察犬とは厳密には、直轄警察犬と、道府県の警察の行なう試験に合格し、 通常一年単位で委嘱される嘱託警察犬をいいます。
一般に警察犬訓練所と呼ばれるものには、各都道府県警察の組織にある直轄警察犬訓練所と、民間警察犬訓練所といって、主に警察犬種(シェパード・エアデールテリア・ボクサー・コリー・ドーベルマン・ラブラドールレトリバー・ゴールデンレトリバー)の訓練を行なう協会の公認訓練士が、自分で経営するものがあります。 当然に後者のみが、一般の方の飼い犬を訓練する訳です。 民間警察犬訓練所には、地名や、個人名を冠した所が多いでしょう。 そして看板は「警察犬」と謳っていても、 その内容は、競技会や展覧会にむけた訓練や一般の家庭犬の訓練が主体ですので、○○警察犬訓練所と称するも、○○愛犬訓練所と称するも、 それは、経営者の考え一つの事なのです。
訓練所を選定するに当たっては、まず、ご自身が、愛犬に何を望むのかをはっきりとしなければなりません。 ○○警察犬訓練所とか、○○愛犬訓練所といった名称とは無関係に、展覧会専門の訓練所もあれば、 訓練競技会用の訓練を専門の所、家庭犬向けの訓練が専門の所などもあります。 同じに、訓練士と言っても、その専門が違えば、目的そのものが全く違ってきますから、 それに伴って、飼い方のアドバイスも違うのです。
訓練競技会で常時入賞するような高等訓練に卓越した技術を持つ訓練士が、 必ずしも、あなたの愛犬を良い家庭犬にしてくれるとは限りません。 一流大学の教授が、幼稚園児の指導に優れているとは思えないのと同じことです。 家庭内暴力で困っている息子に、現役東大生の家庭教師をつける親がいるでしょうか。 ところが、こと、犬の訓練となると、そうした選び方をされている方が多いのです。 また、一流の訓練士が片手間に行なうより、三流の訓練士が一生懸命行なうほうが成果のある場合もあれば、 三流の訓練士はこれだから三流なのだと思われる場合もあります。
その上さらに、家庭犬の訓練士一つでも大きな違いがあります。 それには訓練士の経験、技術、性格、人間性等、色々な要素があります。まず大切なことは、流儀です。 最近では、ヨーロッパ式とかアメリカ式をうたい文句にしているところもありますが、 当然に、欧米においても様々な流儀があります。 以前、私がアメリカで見てきた訓練教室などでも、それぞれに流儀が違っていました。 そのうちの一つは、餌を使って、いわゆる釣って教えるタイプであり、 もう一つは、スパイク首輪や電気首輪を使う、いわゆる強制の強い訓練で、 もう一つは、 チェーンカラーを使っての、誉めること叱ることによる条件付けでの教え方で、 まさに三者三様でした。
もちろん、各々に、長所と短所を持ち合わせているのですし、個々のケースによって、適した方法が違うことも ありますし、各々なりに、ある程度の成果をあげているのですから、いちがいにどれが正しいといった決め方は、出来ないのではないかと思います。 この点に関しては、ご自身と同じ考え方や感性の訓練士を選ぶ方が、 信頼関係も築きやすく好ましいでしょう。 但し、お客の前では、決して犬を叱らないという商売上手?な訓練士もいます。
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