介護犬ですか?・・・・・いいえ、介助犬です。
介助犬は、障がい者の身体介護を目的とする犬ではなく、障がい者の日常生活の手助けを通して
自立と社会参加を支援する犬のことです。
具体的には、「落としてしまった物を拾う」「移乗の際の手助け」「車いすを引っ張る」
「着衣脱着の時の手伝い」などが介助犬の主な仕事で、犬を必要とする障がい者の方の
障害程度に合わせ、一頭ごとに異なる訓練を犬におしえる「オーダーメイド」の育成になります。
その仕事はいずれも、ほんのちょっとした手助けに過ぎません。
だれかを呼んで頼むには気兼ねするような、と言って自分一人ではできない。
そんなときの手助けを犬が担ってくれることは、精神的負担を軽くしてくれます。
「誰かがそばにいてくれないと、何かあったときに不安。」
こんな気持ちを常に持っている障がい者にとって、24時間介護者がそばにいるのと、
犬がそこにいてくれるのとでは、まったく違う心境なのです。
また犬は、人の世話なくしては生きていけない動物です。お互いがお互いを必要とする
共存共益の関係は、精神面においても障がい者の自立をサポートします。
そして介助犬の存在は、躊躇しがちな周囲の方と、気後れしがちな障がい者の間にできる
小さな溝を埋める、かけがえのない存在になります。
「自分の出す指示で、犬が必要とする介助をしてくれる」
「何も言わず、存在や視線を感じさせることなく、いつも自分を見守ってくれる」
「愛情を寄せあい、心の癒しとなってくれる」
「犬を撫でるという行為が、知らず知らずのうちに動かない指を動かしてくれた」
これらは、犬にしかできない介助です。
どんなに便利な機械が開発されても、心の介助まではできません。
|