聴覚障がい者は、外見上わからないために、孤独な障害だと言われています。
人の呼びかけや、後ろから近づいてくる自転車のベルなどに反応しないために「無視している
感じの悪い人」と誤解を受けてしまうこともとても多いのです。
私たち多くの人は普段の生活の中で、クラクションを鳴らすとき、あるいは何かの用事で
ちょっと人に声をかけるときに、耳の聞こえない人の存在を忘れてしまっています。
聴覚障がい者は、駅やデパートで緊急放送があっても、必要な情報を得ることができません。
そんな時に「聴導犬」のガウンを着けた犬を連れていたらどうでしょうか?
その犬の存在だけででも、周囲の方の善意をよびよせることができるのです。
聴導犬は、聴覚に障害を持つ方に必要な音の発生を教えてくれます。
具体的には、生活状況などによっても異なりますが、目覚まし時計、来客のチャイム、
自転車のベル音、メールやファックスの着信音、赤ん坊の泣き声などです。
もちろんストロボや、バイブレーションにより音の発生を伝えてくれる機器もあります。
しかし視覚刺激や触覚刺激は、眠っている時にも反応することができる聴覚刺激と違って、
気を配っていないときには気がつきにくい一面があります。
聴導犬は音の発生や音源を、通常、使用者にタッチをすることで教えてくれます。
犬という動物本来の危険察知能力が、不意の事態にも対処できる場合もあります。
実際、大洪水に見舞われた地域で、本来の訓練項目にはなかった地元の洪水警報のアナウンスに
犬が反応し教えたことで、危険を回避できたという報告もあります。
聴導犬と一緒ならば、真夜中の異変に不安になったり怯えたりすることなく、安心して
ぐっすりと眠りにつけます。
盲導犬や介助犬とは大きく異なり、聴導犬は使用者の指示に従って行なうのではありません。
そのため、いつでも犬が自らの反応で音や危険を知らせるように教えています。
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