本文へスキップ

補助犬研究室 サービスドッグ・サポート

     目の不自由な方の歩行を誘導する   [盲導犬]

     肢体の不自由な方の日常を手助けする [介助犬]

     耳の不自由な方に音の発生を知らせる [聴導犬]

     これらを総称して「身体障害者補助犬」と呼びます。






介助犬の考察お知らせ


介助犬とは、肢体障碍者の日常生活に於ける手助けを通して、社会的自立を介助する犬です。
具体的な介助犬の仕事は、物品の拾い上げや運搬、着脱衣の補助、体位の変更、扉の開閉、スイッチの操作、
起立及び歩行の際の支持、緊急の場合の救助の要請などとされています。

これらを行なうには、介護者や介護器機といった手段もあります。
そこに「介助犬」という選択肢が加えられることの意義を、しっかり考えたいと思います。
常に世話をして貰う立場だった人が、世話をする立場に立つことによる自己確立と、そこに生じる自信といきがい。
毎日の世話や犬との訓練を通じての様々なリハビリ効果。それらは、何ものにもかえがたいものです。

社会との交流においても、犬の果たす役割には大きなものがあります。多くの方が、犬の純粋な愛情や献身的な行動に接したとき、とても素敵な笑顔をなさいます。
そうした犬がもたらす微笑みが、障害をもつ方の励みとなり、社会の人々との掛け橋になれたならば生活の手助けだけでなく、自立や社会参加といった人生そのものをサポートしてくれるのではないでしょうか。

それのみならず、平素、障害を持つ方への理解に乏しい、あるいは福祉にさほどの関心を持たない方にも、障碍者福祉や地域福祉に少しでも理解や関心をもっていただく、この上なく良い機会になると実感しています。


私が介助犬の育成に取り組む前に、まず考えたことは次のようなことについてです。

介助犬とは、障がい者にとって、真に必要なものなのか?  

このハイテクの時代に、犬にしか出来ない作業とは何だろうか?大抵の事は、リモコン装置や、電動マジックハンドで出来るのではないか。
自宅ならば、電気のスイッチの 位置を付け替えや、ドアノブの改造くらいは、さほどの費用もかからないはずだし、
電燈の紐は長くしておけばいいのだし。もし他人の家なら、でも他人の家に自分一人でいる事は、まず少ない事だし。

*犬の日常の世話ができる障害程度で、必要不可欠な介助動作とは何か? 犬の排泄物の始末は誰がするのだろうか?
 もし本人にできるのなら、物を拾わせる訓練は必要無いだろうし・・・・・。
 手動車椅子をこげる人なら、冷蔵庫を開ける事や、閉める事は出来そうに 思うし、冷蔵庫のジュースを取りだせない
 人は、犬から受け取った後にキャップを開けたり、缶を持って口の 高さより高く上げて飲むことができるのだろうか・・・・・?

*介助犬を使用する事によって、障がい者の行動がどの程度広がるのだろうか?
*外出時に、犬を同伴させなければならない必要性は何だろうか? 公共施設に受け入れを認めさせるほどの必要性はあるのだろうか? 
我が国では、車椅子だけでも、公共交通機関を始めとする社会の受け入れ体制は整っているとは云い難いのに、それに犬が加わるとなった時に様々な問題点が生じるのではないか。
旅行に行く際、介助犬を持てば、介助者が不要になることがあるのなら、それはどういった障害の方なのだろうか。もし介助犬を連れても、介護者は必要とするならば、介助犬ははたして不可欠とまで言えるのだろうか。
*介助犬を使用する事によって、介護者の負担が、どの程度軽減されるのか?
障がい者本人に対する介護が減っても、犬の世話という負担が増えるのでは?
健常者ですら、大きな犬と室内で生活するとなった時には大変な場合が多いのに、日本において受け入れられるのか?
   我が国は「犬のしつけ」においては、欧米に比較し明らかに後進国です。
   人口密度も高い日本の社会で、外出先に同行させる必要性はあるのだろうか。
*一般の愛犬も公共交通機関の乗車が認められている国との違い。
  犬が電車バスに乗れる事が特別である以上、周囲の評価は厳しくなる。
*室内での土足生活が通常の国との違い。天候、路面状況等による、犬の泥・汚足について問題は生じないか。
   抜け毛により、問題は生じないか。 雨の多い我が国において、犬を連れ歩く事の負担は大きいのではないか。
*潔癖症候群とも揶揄される程の、きれい好きな国民性がどう感じるのか。
  例えば、エレベ?タ?スイッチの操作で壁に足をかけたり、レジ台に乗せたり等の行為は、受け入れられにくいし、
  第三者にくわえて物を渡す行為は、物品に唾液が付着する問題がある。買い物などは、店員に依頼すれば良いのではないのか。
  自分にできない事を他人に頼んでしてもらうからと言って、それが自立していない事にはならないと思うのだが。
*公共施設や、街作りにおけるバリアフリ?が進んでいる国との違い。
  道路幅自体の狭さや、現実の駐車駐輪、立て看板など大きな問題である。
  アメリカの介助犬のように引き綱の長さ自由に歩くようでは、迷惑きわまりないものになってしまうし、
  犬と車椅子の間に障害物がはいりこみ 危険を生む。
* 介助犬に護身犬的要素が認められる国とは、犬の選定基準からして違う。
*権利の主張を当然と考える国と、謙虚を美徳とする日本人の国民性の違いがもたらす影響は どんなであろうか。

介助犬に求められる安全性 安全性を検討する際に、まず比較の対象となるのが、すでに国内において長い歴史を持ち、
社会的認知を受けている盲導犬となるでしょう。

盲導犬との相違点
*使用者が、緊急時に犬を力で制する事ができない。
*時に犬を放して行動させる作業科目があるので、人込みの中で放しても安全にかつ指示に従える水準が必要となる。
*上肢の障害により視符(手による合図)による指示や、構音障害により、(言葉による合図)が使えない場合が多い。
*障害の部位や程度が異なり、要求される訓練内容が個々に異なる。
*障害が進行する場合がある。
*仕事が外出時のみならず、在宅時、就寝時にも及ぶ。 通常時の居所における非破壊のしつけや排泄訓練を要する。
*使用者が重度障害者の場合、ハーネスの着脱や、排泄物の処理を始め、日常管理を使用者 本人が出来ない場合がある。
   通常、日常生活を通して信頼関係や主従関係を築くのであるが、それが出来ない場合が考えられる。
*作業内容の違いから、選定の際に犬に要求される能力や稟性が違う
  高度な作業能力、温厚従順といった、とかく相反する要素を要求される。
   また、犬の自発的作業を要求すればする程、当然にさらに高度な抑制を必要とする。



このページの先頭へ 



補助犬のTOPページへ