犬をかうにあたって   繁殖と販売     動物取扱業登録 動愛第 190145

犬は買い替えのきく商品とは違います。

これからのあなたの人生の15年を共に過ごすのです。

それだけに、充分に勉強なされ、しっかりとお選びになることをお奨めいたします。

犬種によって、繁殖によって、個体によって、それこそ千差万別なのです。










犬をかうにあたって

繁殖について

販売について

ぶるどっぐ

   German Shepherd
  ドイツ シェパード

現在は繁殖を行なっていません
  LabradorRetriever
   ラブラドールレトリバー
現在は繁殖を行なっていません
Poodle

プードル
Shiba dog

柴犬


 
犬は、容易にどなたにでもかうことができます。
ただしそれは、「犬を飼う」という事が、 ただ単に「その生命を、まっとうさせる」というのであれば、
という意味においてです。
つまり、「所有する」とか「生かしてだけおく」程度の事なら、生存に必要な最低限の環境を用意し、
食べ物を与え、必要な運動をさせさえすれば、それで良いのです。

しかしそんな飼い方をするなら、何も数多い動物の中から「犬」を選ぶ意味はないのです。
それどころか、犬のように高度な知能と豊かな感情を持つ動物を選ぶことは、残酷でしかありません。
ウサギやモルモット等の、他の家畜化された動物を選ぶことを、むしろお薦めいたします。

そもそも、あなたにとって「犬を飼う」とは、どういうことなのでしょうか。
例えば、動物園における動物を飼うということ同じではないと思います。人為的に品種改良を重ねて作り上げた、いわゆる家畜を飼う事と、野生の動物を飼う事とでは、その本質が全くもって違うのです。

犬を飼うということが、「犬を家族の一員として、家庭に迎えいれる」「あなたの人生のパートナー」とすることであるならば、それは、誰もが簡単にできることではありません。
普通に考えて、10年から、15年、これから先のあなたの人生に関わりを持ち続けるのです。
まず「精神的ゆとり」「経済的ゆとり」「時間的ゆとり」この三つが無くては、犬を飼うことは難しいでしょう。

この他に、場合によっては体力や、知識も要求されます。
あなたとは全く異なる感覚や習性をもつ「四つ足の動物」が、あなたの生活に入り込むのです。
充分な愛情を注いで育てるためには、「精神的ゆとり」が不可欠です。
大きな犬であれば、また健康面にも配慮をすれば、食費も相当かかりますし、定期検診や、予防注射、 また病気や怪我でかかる獣医代にしても、まさか、高いからやめるというわけにはいかないでしょう。
そして犬に、家庭や社会で必要とされるしつけをするためには、また、もっとも肝心の犬とのコミュニケーションを図るためには、相当に時間に余裕が無ければなりません。

また残念なことですが、生来好ましい性格の犬ばかりが繁殖されている訳ではありません。
犬種による特性や、血統的に持つ先天的特性(血統書の善し悪しの問題ではありません)、あるいは、
出産時から、親離れして家庭に迎え入れられるまでの環境により、精神的障害を受けている犬の場合などは、
それなりの専門的知識を勉強しながら育てなければ、手におえない犬になってしまう場合もあります。
犬を飼い始めてから、こんなはずではなかったと思うとしたなら、それはあなったにとってもそうでしょうが、
それ以上に犬にとって不幸なことなのです。
そうした事態を招くことがないように、まずはあなた自身がしっかりと勉強され、本当の意味での「良い犬」を
迎えていただきたいと願います。

もしも犬を価格だけで比較するのでしたなら、他にいくらでもお勧めできるところがあります。
しかし犬をお飼いになる上で、最もお金のかかるのは、購入の費用ではなく、その後の費用です。
実際、購入時の 10万円の差は、生涯を考えれば年間1万円にも満たないものです。

訓練士が言うべきではありませんが、しつけや訓練で変えることができるのは一部分であって、
その本質のほとんどは、持って産まれたものと、離乳期までの生育環境とによって決まります。
家庭犬として、伴侶としての犬を望まれるのであれば、そうした資質の犬を選ぶことが一番です。

また多くの方にとって購入元や繁殖元は、相談先としても大きな存在になることと思います。
きちんとした知識や経験に基づいた適切なアドバイスを受けられることも重要な要素です。




001犬は選んで
犬は選んで                                 本当のしつけTOPページへ
犬はその先の永い将来にわたって「買い替えのきく品物」ではありません。
本来、飼う前にもっと良く考えて犬を選ぶべきなのです。
実際に飼ってしまえば、どんな犬でも可愛いものです。
そして、『うちの犬は、世界一』なのです。
だからといって、どんな犬でも同じだという事は、決してありません。

考えて見れば当り前の事ですが、犬は、人間が「十人十色」といわれるそんな比ではなく、
犬種や血統、また、その個体によって、様々な能力や品性に非常に大きな差があります。
これから犬を飼おうとする方にすれば、尚更どんな犬でも良いという訳ではないでしょう。

車を買う時には、ほとんどの方が相当に検討を重ねます。確かに高額な買い物ですからそれも必要でしょう。
雑誌を読んで、カタログを見て、実物を見て、挙句は、試乗までしてやっと決めるのです。
非常に乱暴なものの言い方をしてしまえば、乗用車であれば、どこのメーカーの、どの車種を選んでも
そうたいしては変わりません・・・犬の種類の違いに比べれば。
犬をどれでも同じと考える方は、免許を取ったばかりのおばさんが4トンダンプを買うような、
あるいは、F1レーシングカーを買うような、そんな真似をしているのです。  

犬を選ぶ上でのポイント 初めに考える事は、どんな犬種にするかという事でしょう。
非常に安易に、そこまでは決まっている方も多いでしょう。 更にそれから先の段階でも多くの失敗があります。
どういった血統の犬を選ぶのかも重要な要素ですし、それ以前に、良い犬の基準も、しっかり考えて下さい。

例えば、展覧会を主流とした血統の良さというのは、家族の一員として良い犬をお望みの方には、さほどの価値を
持たないはずですし、訓練性能の良い犬も、多くの方には逆に扱いにくい犬になってしまう場合が多いのです。
それらよりも、どんな環境のもとで繁殖されたのかということの方が、ある意味で血統以上に大切な要素です。
最後に個体選びですが、雄か雌かという選択にも熟考をすべきですし、同じ兄弟の中で一番大きな子を選ぶとか、呼んだら真っ先に来る子を選ぶといった俗説にも惑わされない必要があります。
こうした選び方では、逆に兄弟の中で、最も支配性の高い子や、行動性の高い子を選んでしまうことがあります。それ自体は、もちろん悪いとは言えませんが、家庭犬として考えたときには、扱いにくい要素となります。

生まれ育った環境を考える どこから買うのかを考える時に、考えなければいけない問題は、価格などではなく、
もっと大切な事があるのです。それは、どんな環境で育てられた犬を選ぶかということなのです。
子犬の将来を決定づける上での、最も大事な期間は生後、30日から120日迄の三ヶ月間であると考えます。
この期間こそが、その個体の、社会性を形成するのです。

両親犬の遺伝的形質も大切ですが、その後の授乳期から離乳期までの間に、母犬や兄弟犬から、また管理者、
あるいは周囲を取り巻くさまざまな状況から受ける影響を忘れてはなりません。
この事は、過保護的扱いを奨励しているのではありません。
性格の良好な母犬、第二の母である管理者からの関与、兄弟犬との競争や遊び、様々な悪環境的要因に対する、
適度な馴致を必要とするのです。
大量繁殖所で、管理の手が行き届かずに、常に汚れた新聞紙の上で、寝起きして育てられた子犬や、
ペットショップの陳列ケースの中で、閉店時間から翌日の開店時間迄、ずっとウンチやオシッコの上に寝ていた
子犬を、家庭に迎えて、「さあトイレのしつけを」と頑張ったとしても、どれほどに大変なことであるかは、
言うまでもないでしょう。

同様に、母体の消耗を防ぐために生後ほんの数日で母犬から離されて人間の手で育てられた犬が、
本来犬として身に付けているべき社会性や基本的な上下関係そのものが欠けている事や、
授乳中も唸って飼い主さえをも近づけようとしない母犬に育てられた子犬が、人を怖がるようになるなど、
数え上げればきりがないほどです。
この様に、悪い管理の元での影響は、発育や、皮膚病や、腸内寄生虫による感染をも含めた健康状態など
といった外観上だけでなく、性格その他、内面的なものにも及ぶのです。

人が作る環境が、犬を作ります。
良い環境とはどういうものかを知らなければ、良い環境を作る事はできません。
つまり大切なのは、繁殖者の知識と人間性、そして良い犬を世に送り出すという姿勢なのです。




002良い犬とは
良い犬とは?                                  本当のしつけTOPページへ
 「良い犬」というのは、目的によって全く異なります。
「頭の良い犬」「性格の良い犬」「訓練性能の良い犬」「行儀の良い犬」 「体型の良い犬」「血統の良い犬」
「愛想の良い犬」「顔立ちの良い犬」 「丈夫な犬」等など挙げればきりがありません。
そして「頭の良い」という一点に限って言っても、何を捉えて評価をするのかという点で、また人それぞれです。理解力の良さや、記憶力の良さなどを捉えて頭がよいと評価するのであればともかく、帰巣本能や、あるいは、
動物としての本能に起因する疑似人的行動を捉えて、頭が良いという評価をすることさえも、ままあるのです。

先程述べた、シェルティーに限らず、その犬種の作られた目的や環境に沿って犬を飼う人にとっての「良い」が、
一般の人が、この都市環境の中で、家庭犬として飼う上では、大変に飼いにくい犬であることは多くあります。
使役犬として高い評価を得ているシェパードやラブラドルリトリバーも、訓練士から見て非常に優れた訓練系統の
犬が、家庭犬としては、手に負えないといったケースも多いのです。

最近、一部の人には知られるようになりましたが、介助犬といって、障害者の介助をする犬がいます。
実は、そうした犬が作り出される前、猿を使って訓練に取り組んだ機関がありました。
おそらく知能指数からいえば、犬よりも遥かに高いでしょうし、骨格構成からも人間の必要とする行動を
無理無く行なえるはずでした。
しかし結果は実用に至らず、その訓練成果を公開して見せるまで、つまりは芸として見せるまでに終わりました。
人畜共通伝染病の問題点を除いても、猿を使った訓練が成功しえなかった最大の原因は、樹上生活者である猿には排泄訓練(トイレコントロール)が困難だったことと、家畜ではない猿には、気性面の問題があったのです。
ところが、犬は今、立派にその役をこなしています。
知能指数の高さや、運動機能の優秀さだけでは、良い結果をもたらすとはいえないのです。

同じ事が、犬同士でもいえます。
以前大ヒットした映画「ルーツ」で知られるようになりましたが、ブラッド・ハウンドという脱走した奴隷を
追跡させるために使われていた犬がいます。
この犬種は、全犬種の中で、最も嗅覚の優れた犬だといわれています。
しかし現在、全世界的に見て、嗅覚作業を必要とする警察犬として使用されているのはこの犬種ではありません。
なぜなら、いかに優れた嗅覚であっても、その嗅覚によって仕入れた情報を人間に伝達する手段、即ち服従性や、
一般訓練性能、作業欲や、持久力、集中力といった全ての面で優れていなければ、肝心の役には立たないのです。    
どんな犬種を選ぶか 犬には沢山の種類があります。
そのいずれもが、先人が目的をもって作り上げてきたものです。
当然、犬種によってそれぞれの目的にかなった特性をもっています。しかし、特定の目的に優れている事が、
日本の住環境を考えた社会において、家庭犬としては不適当な場合も多くあります。
まず多くの方が、外見上の好き嫌いで判断されることでしょう。この事自体は、決して悪い事ではありませんし、むしろ当然とも言うべきでしょう。次に、その犬種の持つイメ−ジや、評判を併せて、考えられることでしょう。

知り合いの家の何々犬が、とても良い子だから、可愛いいから、そうした判断でお決めになる方も多いようです。
これは大変に大事な事の反面、大変危険なこともあります。
ほんの数頭の犬を見ただけで、その犬種全てが、そうであるとは、当然に言えないからです。

その犬種の相対的な特性や評価を知ろうとすれば、本を読んだり専門家の話を聞くことになりますが、
ここでも気をつけて頂くことがあります。専門家というのは、それぞれの立場でものを言います。
問題となるのは、主に二点。一点目は、あばたもえくぼだということ。つまり、通常の人には欠点である項目さえもさして苦にならない、時には、それが楽しみや魅力にさえなっているということです。
誰もが自分の愛好する犬種を奨めるでしょう。
少なくとも本人は、その犬種を良いと思っているのですから。

そして、二点目は、商売だということです。販売業者の場合は、まず在庫の犬を奨めます。
なぜなら、犬という商品は、在庫として抱えれば、その間に餌も食べますし、管理の手が掛かります。
売れる前に病気になったり死んでしまったりする事もありますし、日増しに大きくなり売れにくくなるからです。
見た目の好き嫌いは、誰もがご自身の感性で決める事ができますが、肝心の性格や特性については、わからない
ままにお飼いになる方が多いのです。この時、売主に話を聞いても無意味なことは、先に述べた通りです。

大型犬の問題点として、言うまでもなく、大きい事です。
どんなにおとなしくても、いざという時にその力は非常に強いという事です。
そして、万一性格の悪い犬になってしまった時には、それこそ命懸けです。

小型犬の問題点としては、性格のきつい犬が多い事、神経質な犬が多い事、その原因として、小型の犬の場合、
噛む癖のある犬であっても大事故にならないため、平気で繁殖に使われる事があるということです。

毛の長さに関して言えば、長毛犬は、毛の手入れが大変ですし、短毛犬は、抜毛の処理が大変です。
意外なほどよく抜けますし、カーペットに刺さるので、なかなか掃除しにくいのです。また、毛質によって、特に絹毛の犬などは、手入れがよければ、たいそう美しいものですが、ちょっと怠っただけで、すぐに毛がからんで
毛玉になります。見た目が悪いだけならともかく、毛玉を放置すると、悪臭の原因や皮膚病になったりします。

犬種の特性を知るためには、その犬種が作られた目的を考える事が一番だと思います。
しかし、本には良い事しか書いていないことが多いようです。 例えば、吠える問題に関して、相談を受ける事の
多いビーグル犬も、ある本によれば「草原の声楽家といわれるこの犬種は、英国貴族のキツネ狩りに使われ、
その優れた性能はうんぬん」と書かれています。
牧羊犬として優れた血統を選んで繁殖されたシェルティー犬であれば、家庭の中で飼われたときに、
ジョギングをする人や、自転車、バイクに吠えかかったり、お客さんが帰ろうとした途端に、
その踵に噛みついて前を塞ぐなどのいわゆる問題行動を起こしたりすることは、想像に難くないのです。

また、日本犬や、テリアに代表される獣猟犬は、まず、性格がきついものと考えた方が良いでしょう。
そもそも大人しい性格では、命懸けで立ち向かう野生動物に挑みかかる事などできないのですから、
当然に繁殖にも用いられることはありません。 一時、大流行となった、シベリアン・ハスキーという犬種が、
すぐに人気が下火になりましたが、私はハスキーが元来、頭の悪い犬種や性格の悪い犬種だとは考えていません。
実際、北極圏周辺の地において、この犬種は、使役犬として、有能な成果をあげています。
しかしそれは、ソリ犬として飼われ、ソリ犬として使われて、の話なのです。
極端な言い方をすれば、人なつこくて、飼い主の傍にいることが何より嬉しいといった犬であれば、
ソリは、いっこうに前に進まないのです。
当然に、繁殖する上では、ソリ犬として不要な、人間に対する服従性や、依存性は排除されてきました。
そうした犬種を家庭犬として、さらには飼い主の言うことをきかせようとするから、性格が悪くなるのです。




003どんな犬を選ぶのか
どんな犬を選ぶか                              本当のしつけTOPページへ
雑種か純血種か まず初めの選択肢として、雑種にするか純血種にするかという事でしょう。
結論から言えば、私は純血種を薦めます。
なぜなら、犬を飼いたいと思う時点で、あなたなりに想い描くものがあろうと思います。
また飼うに当たって住宅事情や、家庭の都合というものもあるでしょう。
体の大小に始まって毛の色や長短。一緒にアウトドアライフを楽しめる、活発な犬を望む人。
小さなお子様にも扱えるおとなしい犬を望む人。
そうした様々な希望に対して、純血種の場合は、個々に多少の個体差はありますが、将来どういった犬になるかの
おおよその見当をつける事はできますし、自分の好みの犬種を選ぶことができます。

雑種を薦めない最大の理由は最後に述べますが、その他の理由として、万一飼えなくなった時の事や、
将来的に子犬を望めないという事もあります。血統書付きの純血種ですら、引き取り手が無く処分される犬が
沢山いるのです。
万一、やむにやまれぬ事情で犬を手放さなければいけなくなった時、雑種の場合、新しい飼い主は、まず見つからないと思うべきでしょう。

もちろん、雑種の犬を飼うこと自体は、決して悪い事ではありません。
生まれてきた子犬自身に何ら責任はありませんし、捨てられて放っておけば死んでしまう運命の犬を助けてあげるためにお飼いになる事は、動物愛護の精神からみれば素晴しい事でしょう。
しかし、この場合は、決して子犬を産ませない様にするべきでしょう。

可愛がっている犬に、是非この犬の子供を残したいと思う事は、飼い主としては自然な感情ではありますが、
犬は何匹出産するのか見当がつきませんし、多頭数生まれた時に貰い手をどう確保するのかが問題となります。
その犬自身が大変良い子であっても、遺伝子的に重大な欠陥を持っていて、隔世遺伝等により危険な犬を生み出す可能性もあるのです。正しい知識をもち十二分な管理をして飼うか、それが出来ないならば去勢・不妊の手術を
受けさせる事も考えなければならないでしょう。

呆れた事に、あの犬種とこの犬種を掛け合わせれば、両方の良い所を兼ね備えた良い犬ができるだろうという
発想をする人がいます。興味本位で実際にそれを行なう人や、それをスペシャル番組で全国放映するテレビ局さえあります。 
ある犬種を固定する迄には、相当数の基礎犬を必要としますし、歳月をかけた淘汰をも必要とします。
人類と犬との長い共存の歴史の中で、目的を持って固定された犬種を、安直な素人感覚で壊す意義がどこにあるのでしょうか。第一、遺伝とは、それほど単純ではありませんし、産まれてきた子犬はもちろん、その子々孫々迄全て雑種なのです。

犬の種の作出には、劣勢遺伝と、突然変異を固定化することとが人為的に行われてきました。
自然界における繁殖では、当然に自然淘汰される遺伝形質も、目的に沿って、保護されてきたわけです。
人間にも必ず一定の確率で出現する、巨人症、小人症、末端肥大症、アルビノ−(色素欠乏症)などの特性や、
ネオテニー(幼形成熟)を利用して、目的にあわせて、さまざまな犬種を作り上げてきました。
中でも、幼形成熟は、人間に可愛がられる上での大きな効果を生んでいます。

もし人間による種の保護が行われなくなれば、またたくまに犬は、原形に向かって均一化が進みます。
なぜなら、全ての形質において、優性形質が現われるようになるからです。
ここで賛否両論を承知で敢えて言うならば、捨て犬を拾って世話をする方の愛護の精神を否定するつもりも
毛頭ありませんが、それよりも捨て犬がでない社会作りこそが肝要なのではないでしょうか。
確かに、捨てられた犬を目の前にした時、そのまま見捨てる事は、犬好きの方ならずとも、悲しい事ですが、
拾って育てることのできる環境にある方であっても、その数には限度がある筈ですし、それ以上に受け入れれば、
犬にしても、充分な管理や愛情を受けることもできずに、いわば終身刑の様な生活にならざるを得ない筈です。  
それらを悪いとは言いませんが、「拾って飼ってくれる人がいるから」「里親制度と称し、貰い手を探してくれる
制度があるから」、安心して気軽に犬を捨てる人が絶えないのです。
「保健所に連れて行っても、保健所から貰われて行く犬もいるのだから、うちの子も、きっと誰かに・・・・」
などといった、責任逃れの考え方をする人が多いことも事実です。
不要犬が産まれたら、飼い主は自分の手で処分しなければならないとしたならば、
雌犬の飼い主は、もっとしっかり管理する事でしょう。

しかし今尚、一部の方には、ある種の、雑種崇拝的な感覚がある様です。
「雑種は丈夫である」「雑種の方が、頭が良い」「姿形ばかりの純血種よりも性格の良い雑種の方がいい」
「雑種の方が、野生味がある」「雑種の場合、同じ犬は、世界に一匹しかいない」等の理由を挙げる様です。
弱いものは自然淘汰される運命にある、野生化した犬の交配によって産まれた犬であれば、丈夫だという事も
言えるのでしょうが、本来、遺伝的に雑種の方が強いという事も、普通に飼う上ではそれほどの差はありません。
ただし雑種の子犬と言うのは、産まれながらに良い管理をされずに育つことも多く、その中で生き抜いた子は、
丈夫な子であるという事はあるかも知れません。

それと、わが国における雑種には、丈夫な日本犬の血を引く犬が多い事も、そう思われる一因なのでしょう。
頭が良いとする説も、単に、近親繁殖の弊害として、頭の悪い犬が産まれる事があるという事実を、裏返して見ただけの事も多い様ですし、むしろ良識のある繁殖者であれば絶対に使用しない様な、悪い遺伝性を持った犬が親犬である可能性もあるのです。純血種は何も姿形ばかりで繁殖しているわけではありませんし、雑種が性格の良さを求めた結果などではないことは言うまでもないことです。
「野生味があって犬らしい」というもっともらしい意見もありますが、現代の日本を考えた時に、
野生では生きられないのが犬なのです。野生動物ではないからこそ、人間社会で、共存できるのです。
何度も言いますが、犬をも含めた家畜を飼う事と、野生動物を飼う事とでは、その本質が、全く違うのです。
「同じ犬は、世界に一匹しかいない」という意見に至っては全く逆で、
先ほど述べたように、実は「同一化」への第一歩を歩んでいるのです。

また何よりの問題は、雑種が産まれてくる背景を考えればわかりますが、犬を本当に愛し、良識を持った管理、
飼い方をしていれば、雑種の子犬は産まれないのです。
子犬の将来を決するものは、その祖犬をも含めた、両親犬の品性と、生後30日~90日までの環境なのです。
「刷り込み」「馴化」といった言葉がありますが、それぞれの動物は、持って生まれた本能とは別に、
ある時期まで(臨界期)の環境から、自己の属する社会を認識します。
愛犬が、良好な人間社会の一員となれるかどうかは、この時期までの環境が決定するといってもよいほどです。
雑種の子犬を産ませる人に、その子犬に適切な育成環境を施すだけの姿勢や知識を望むことは難しいと思います。それならば、生後30日前に飼い始めればと思われる方もありますが、生後30日から60日の間に必要な事柄は、
母犬、兄弟犬から学ぶべき事も多く含まれており、安直に、人間が代わりを務められる事ではありません。
そうしたことからも繁殖者の繁殖に対する姿勢や知識に疑いのある雑種を、敢えて選ぶ必要はないでしょう。




004どこから買うのか
どこから買うのか                                本当のしつけTOPページへ
犬の値段はどの程度が、適当であるといえるのでしょうか。
実際に非常にばらつきがあり、比較もしにくいのです。なぜなら、厳密に同じものが二つとないことが言えます。

まず、一般商品の流通と同じように、どこから買うのかという点から考えてみます。
通常、ペットショップ、ブリーダー、訓練所、ブローカー(仲介業者)といった、いわゆるプロから買う場合と、掲示板などの情報、あるいは友人知人などの紹介で、一般家庭で繁殖された犬を素人から買う場合があります。
そのどちらが良いとは一概に言えませんが、各々の長所、短所について、心得ておいて下さい。

ペットショップ
まず、ペットショップは、犬を売るのが商売だということです。
自家繁殖といって、自分のところで繁殖をした子犬や、契約繁殖者や、お客さんの家で繁殖した子犬や、犬の市場で仕入れた子犬をお店で売るのです。仕入れをした値段の三倍から五倍の値段で売るのが普通だと思います。
そう聞くとなんて儲けているのだろうとか思われるかも知れませんが、商品の性質上、売れるまで並べておけば、売れた時点で、利益が出るといったものではないのです。日毎に商品価値は下がるし、その間の餌代は知れたものとしても、世話には手が掛かるし、売れる前に病気になったり、死んでしまったりすることもあります。
やっと売れたと思っても、買った人が非常識な犬の管理をすれば、体力のない子犬はすぐに病気になってしまう。
そうした非常識な人は、すぐに病気の犬を売ったのではないかと言ってくる。信用商売としては、犬を交換することになるといったリスクも負っているのです。店舗を構える以上、テナント料や光熱費そして人件費を払って、
その上、自分と家族が生活できるだけの利益を出さなければいけないのですから、当然ともいえるでしょう。
以上はショップの立場から見た話ですが、逆にとんでもないペットショップがあることも承知しておいて下さい。

本によっては、信用のおけるペットショップでなどとありますが、
悪徳ペットショップとの見分けが、一般の方につく訳が無いのです。
店が大きくて大々的に広告も出しているので、結構繁盛している。
誠実な商売をしなければ、長い目で商売はやっていけないというのも真実なら、
誠実な商売をしていたなら、店は大きくならないというのも真実なのです。
また、別の観点から言えば、プロから飼う場合は、高い分、他の付加価値もあるでしょう。

日本人はとかく、形のある物には当り前にお金を払う反面、
知識や情報といった、無形のものにお金を払うことには、抵抗を持つようです。
しかし、無知ゆえに、犬にとって可愛そうな結果を招いたり、飼い主にとって大変な思いをしたりすることが
あったとしたなら、多少高いお金を払っても、あとあと、適切な指導、助言を受けることができたなら、
金額に代えられないプラスということもあるでしょう。

ブリーダー
次に、ブリーダーから買う場合ですが、ペットショップ以上に、善し悪しの幅があります。
悪い代表例で言えば、愛犬家殺人事件で広く知られたA・ケンネルがありますが、事件までは起こさないまでも、商売の中味は似た様なものといったところも多数あります。
本来欧米などでは、一番好ましい入手先として挙げられるのがブリーダーなのですが、日本の現状では最も善し悪しの見極めが難しいとも言えるのです。ペットショップが一般社会に広く認知された職業であるのに比べて、最近でこそ、某フードメーカーのコマーシャルの影響で知られるようになりましたが、比較的特殊な世界での職業であるがために、その規模、形態も様々ですし、悪質な業者が多くいます。

専業のブリーダーには大きくわけて、多くの犬種を扱うブリーダーと、特定の犬種のみの繁殖を行なうブリーダーとがあります。最大の利点は、常時子犬がいると言う点にあります。
価格が安ければいい、希望の犬種でさえあれば、どんな犬でも良いと言う人や、思い立ったらすぐに欲しいと言う
人には、値段も、流通マージンが無い分は安いのが普通ですから、お薦めなのかも知れません。

最も当たり外れがあるのは、特定犬種のみを扱う兼業ブリーダー、いわゆる、セミプロの人達です。
ある特定の犬種に限っていますから、その犬種に限っては並外れた知識を持っていますし、犬の飼い方に関しても一家言を持っています。好ましい常識であれば何ら問題はないのですが、中には家庭犬としては全く無意味な、
むしろ不都合な犬の扱いや管理を、時には危険な感覚を押し付けてくる人もいます。
それを何も知らない人が、真に受けて育てて、手遅れになった頃になって相談してくるケースも多いのです。
それで生計を立てていない分値段が安いかというと、その逆が多いのです。
「そこらのペットショップで売っているような犬とは、犬が違います」といって、時には倍以上もするのです。
実際その通りで、特定の目的を持って飼う人にとってはその値段を出しても惜しくない犬もいるのですが、
なかには、「値段が高ければ良い犬だと思う無知な小金持ち」を相手に、いかに愛犬家の味方のような顔をして、それらしい付加価値をとりつくろうかに終始している人も多いのです。

中には、高く売るのは親切だと公言する人すらいます。
その論法はといえば、「飼い主にすれば、うちの犬は、50万円の犬だといって自慢の種になるし、
犬にすれば、高いお金を出したのだからといって、大切に育てて貰える。そして私は儲かる。
これこそ大岡裁きの三方一両損ならぬ三方一両得だ」というのです。
こればかりは、買い手の側にも問題のある人が多いと言う現実を考えさせられる意見でもあります。

実際のところ、単に金儲けの一手段として犬の繁殖をしている人と、その犬種を本当に愛好し、
その繁栄と啓蒙のために繁殖している人との見極めは意外に難しいものです。

訓練所
中型犬や大型犬の場合は、訓練所から買われる場合も多いようです。
看板は訓練所と出していても、実態は犬の売買が専門のところもありますので一概には言えませんが、
訓練所では、その後の訓練での収益を当て込んでいますので、犬の販売自体で暴利を求めはしないものです。

一般家庭
いわゆる素人繁殖は、プロが高い理由を考えれば、ペットショップの一般価格の半値程度以下なのが本来です。
ところが実際はそうとばかりとは言えません。なぜなら、自分がその犬を買った時の金額が基準となるからです。そして、どうしても自分の愛犬に対する評価は、客観的評価に比べて、高くなりがちです。
全く知識をもたずに、あるいは、とんでもなく偏った知識で繁殖をしている方も多いのが現実ですし、
こうしたケースでは、遺伝的に重大な欠点を持つ事もあります。
また、そうした方から犬を譲り受けて、親元の言う事だからと、鵜呑みにして育てての失敗も多く見聞きします。 しかしながら、正しい知識をもった人の指導に基づく繁殖であれば、子犬が充分な愛情と管理を受けられて育っている事などから、最もお薦めできます。
この場合は、まさに、繁殖者の人柄を見る事と、母犬の性格を見て決める事です。



005いくら位が適当なのか
いくら位が適当なのか                                本当のしつけTOPページへ
安ければ、それだけで買い得とはいえません。犬を飼うのには、大変なお金がかかります。
はっきり言えば、始めに支払う犬の購入代金など、その犬の生涯にかかる費用のほんのわずかにすぎないのです。ただで貰った犬も十万円で飼った犬も、犬の寿命で考えた時に、その生涯の差は年間一万円しか違わないのです。
まず承知しておいて頂きたいことは、「犬の値段は、そのまま、その犬の価値ではない」と言う事です。
ほとんど同程度の犬であっても、値段は全く違う事はざらですし、高い犬が、良い犬と言う訳ではないのです。 とにかく、あまりに高いと思ったなら、やめることです。
いくら相手がもっともらしい価値を説明したところで、知識の無い人が、わかりもしない価値に高いお金を払うことは無意味です。「いくらのところが特別にいくらです」といわれたら、安い方の値段が本来の値段でしょう。
どんな優良血統だといわれようとも、街で見かける一般的な犬種で20万円まで、それ以外の犬種で30万円まで、それ以上であれば、一般の方が、家庭犬としてお飼いになる上での意味は持たないと、私は思います。
価格は基本的には、需要と供給によって決まります。特に、中・大型犬の場合は、売れ残ったら繁殖者にすれば
非常に困ることはおわかりでしょう。当然、そうなれば、ただ同然でもいいからと買い手を探す羽目になります。
5匹の子犬が生まれた例で言えば、子犬が生まれて間もない段階で、2匹の注文が入ったとします。
しかしそのリスクが見えている以上、繁殖者にすれば残り3匹の買い手が見つからなくて販売業者に、ただ同然の
値段で買い取って貰う事になっても赤字が出ないように、繁殖に要した諸費用を二等分した値段を決めるのです。
そうしておけば、残りの3匹は、買い手がつかなくても損得なし、うまく売れ先があれば儲けになるのです。
つまり、業者が仕入れる場合は、こちらから探せば高くなるし逆に買い手を探している人にさりげなく、
持ちかければ安くなるのです。その開きは同じ腹(兄弟犬)の犬であっても、時に十倍にもなることもあります。
そして売り手の心理から言うと、なるべく良くない犬から売りさばいていく傾向がありますから、
一目でわかるような欠点があって売れ残る犬は別として、兄弟間で、極端な差が無いときには、
安く仕入れた犬の方がいい犬であることも多いのです。

ペットショップやブリーダーで犬を買うときに、ショー用、ペット用という言葉を聞くことも多いと思います。 本来からいえば、「ショー用」といって売る以上は、展覧会における審査項目上の欠点を持たない犬でなければ
ならないはずですし、「ペット用」と言う以上は性格的に温厚であるべきですが、実際には、単に両親犬が、
展覧会において、タイトルを得ている、あるいは、それに準じている程度の理由で、「ショー用」と称して
高く売る人が多いようです。
逆に、はっきりとした外見上の欠点があって、それゆえにペット用と称して、安く売られる事もあります。
家庭犬として飼う上では、飼い主の側さえ気にならないのであれば、それは良いのではないでしょうか。
ただしその場合は、将来にわたって繁殖を考えるべきではありません。

 
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